ヨーロッパ経済について

現在、ヨーロッパに属する大半の国が欧州連合という地域統合体に加入しており、EU欧州連合は、全体で見ると現在世界第2位の経済圏であり、 、2021年現在では、28か国が加盟し、域内の人口は5億1259万人にのぼっている。そして、域内のGDP総額でアメリカに次いで世界第2位の単一市場である。

大航海時代以降のヨーロッパは、経済科学技術の発達によって政治面・経済面で世界の中心となったが、20世紀に入ると2度の世界大戦ヨーロッパは荒廃した。経済的な力が小さくなり、世界における人のヨーロッパの地位低下というものが顕著になった。代わりに世界の主導的な役割を担うようになったのがアメリカであり、第2次大戦後に政治、経済の面で欧州統合の動きが本格的に始まった。ヨーロッパの共同市場への第一歩を踏み出すことになってからは、1952年、戦争が終わって、欧州石炭鉄鋼共同体ECSCというものを設立し、加盟国がフランス、西ドイツ、イタリア、ベルギー 、ルクセンブルク、オランダの6か国で、国々は、欧州統合の中心的な存在となった。このECSCの設立によって、これらの国々は石炭、鉄鋼について共通市場を創設した。これは、戦略物資の共同管理を通じてヨーロッパの平和を維持することも目的であった。石炭、鉄鋼だけではなく、より広範な共通市場を目指して、1968年、この6か国が母体となった共通市場を目指した欧州経済共同体(EEC)が設立された。経済協力関係を重ねてきたヨーロッパは、1980年代になると完全な経済統合への道というものになった。また、1980年代のヨーロッパは、ほかの経済圏であるアメリカや日本に比べて欧州経済は停滞するようになっていき、このままであると置いていかれるということからユーロペシミズムが広まり、単一市場の創設で欧州経済の活性化を狙うという構想がひろがった。そして、1986年に単一欧州議定書というものが結ばれた。さらに、1989年のドロール報告では、単一市場、マクロ経済政策の協調、共通通貨の導入で経済統合を目指すことが計画された。2002年にヨーロッパは、ユーロの現金、紙幣等が流通され、1980年代に計画された完全経済統合への向けたステップが完了された。1952年にECSCが結成されて、約半世紀でほぼ完全な経済統合に辿り着いた。1980年代、欧州共同体の加盟国の12か国は西欧諸国を中心とし、1990年代には冷戦終結によって中・東欧の諸国が西欧の経済圏と一体化した。2004年以降は、数次にわたる加盟国の拡大でほとんどの中・東欧諸国がEU欧州連合に加盟した。 2007年以降、EUの経済成長が低下していき、この原因はリーマンショックが非常に大きく影響し、リーマンショック後の金融危機や景気後退で公的支出が急増した。そして2012では、一度回復した成長率が再びマイナスに落ちこんでしまい、これは、ヨーロッパ内部の問題である欧州債務危機というものが非常に影響を与えており、その2016年には、イギリス離脱など問題が相次いだ。2016年6月の国民投票でEU離脱支持が多数派となり、経済規模でドイツに次ぐイギリスの離脱はEUに大きな影響を与え、イギリスは、2020年1月31日に正式にEUから離脱ということになり、移行期間中に新しい経済関係について交渉しているわけであるが、交渉は難しい問題となっており、油断を許せない状況となっている。2020年、国民投票の結果を受けEUを離脱したが、もともとイギリスは欧州内では特殊な立場をとっており、共通通貨ユーロというものは採用せず、独自通貨ポンドというものを使用し続けていた。また、自由往来を定めたシェンゲン協定も非加盟であった。EU離脱をしたイギリスは、島国であり、地理的に大陸と分離しており、ヨーロッパのとの一体感が薄く、非常に大きな経済力や海上覇権をもっていたため、ヨーロッパのプリンとの同盟関係というものを持つ必要がなく、19世紀は長い間、栄光ある孤立という立場をとっていた。